福井で出会った、心と体にやさしい恵み

新しく仲間入りする巡り宵の「宵のなつめ茶」の準備が現在進んでいます。
名前は「宵のなつめ茶」。ほんのり甘く、心ほどける味わいのお茶です。

発売に先立ち、私たちはその“原点”を訪ねるべく、福井県にある「棗(なつめ)の里」へ足を運びました。
大雨の予報が出ていたのでどうなるかと思いましたが、何とか晴れてくれました。

小さな赤い実に宿る、長い歴史と物語

なつめの樹木
棗の木々

広大な土地にずらりと並ぶなつめの木々。その緑の中を歩いていると、まるで時がゆっくりと流れているかのような気分になります。

なつめの農園
木は2mくらい

なぜなつめ茶を取り入れようと思ったのかは前回のお話を参考にしていただければと思います。

なぜなつめを選んだのか
巡り宵が「なつめ茶」を作る理由

福井県産のなつめですが、歴史的に巡る紅花ブレンド茶に使用している桶川のべに花と似たような状況で、とても親近感がわきました。

実はこの地、かつて「棗村(なつめむら)」という名で呼ばれていたのだそう。
なんと、棗栽培の起源は室町時代にまで遡るとか。しかも始めた方のお名前が「なつめさん」だったという、なんとも運命的なエピソードも伺いました。

なつめの農園
もっと奥にもなつめ畑は広がっています。

「棗」と書いて、なつめ。可愛い実の裏には、鋭い棘がある?

皆さんは、「なつめ」の漢字をどう書くかご存じですか?
「棗」と書きます。
あのつややかで愛らしい赤い実からは想像もつかないほど、実は枝には鋭い棘(とげ)がついています。
現地で初めて見た時は、あまりの長さにびっくり。バラ以上の迫力で、注意が必要なくらいです。
棘(とげ)と棗(なつめ)の漢字が似ているのは納得です!

収穫時期は夏。7〜9月にかけて、熟した実を枝ごと揺すって落とすのが一般的だそうです。

なつめの木の枝にある棘
バラよりも長く鋭い棘があります
なつめの棘アップ
棗の棘アップ
若い状態のなつめの棘
若い状態でも棘ははっきりとわかります
なつめの棘のアップ
柔らかそうでもしっかりと痛い棘でした。

漢方としても有名な「なつめ」とは?

完熟したなつめの実
なつめが熟した状態

棗は、東洋のスーパーフルーツ。

なつめは昔から、漢方や薬膳料理に使われてきた果実です。
鉄分・カリウム・マグネシウムなど、女性にうれしい栄養素がたっぷり含まれています。

見た目が似ているため、クコの実と間違えられることもありますが、味はまったく異なります。
完熟したなつめは、まるで水分を抑えたリンゴのよう。酸味はほとんどなく、やさしい甘さだけが口に残ります。

その実を40~60度の低温でじっくりと乾燥させ、種ごと粉砕してお茶に。

実を乾燥させたものを大棗(タイソウ)、種子は酸棗仁(サンソウニン)という生薬として利用され、大棗には強壮作用・鎮痛作用があるとされ、甘味があり多数の漢方方剤に配合されています。

お茶にしてもリンゴのような甘味をほのかに感じることができますし、優しい甘さでノンカフェイン。
夜のお茶としても安心して楽しめます。

なつめの花
棗の花(6月)

大切に育てられた在来種のなつめの木

私たちが訪れた農園には、さまざまな品種のなつめの木が植えられていましたが、その中にひときわ大きく育った在来種の木がありました。

他の木々と比べても、葉のつき方、枝ぶり、根の張りがまったく違います。
時間をかけて、土地とともに生きてきた姿には、どこか神々しさすら感じました。

この木の実も、きっと美味しいお茶になってくれるはず。

在来種

なつめは漢方の優等生。薬膳料理にもよく使用されます。

棗は栄養価に優れた果実です。
多くの場合は乾燥させたものを加工して、色々な製品に用いられます。

特に、貧血になりやすい女性には鉄分が含まれているのは嬉しいですよね。

タンパク質カリウム亜鉛ナイアシン葉酸パントテン酸食物繊維
なつめ(乾)3.9g810mg1.5mg0.8mg1.6mg140μg0.86mg12.5g
プルーン(乾)2.5g480mg0.2mg0.5mg2.2mg3μg0.32mg2.2g
プルーン(生)0.7g220mg0.1mg0.1mg0.5mg35μg0.22mg0.5g
ブルーベリー(生)0.5g70mg0.2mg0.1mg0.2mg12μg0.12mg0.2g